徳田です。
 「高齢者福祉」の授業を創出するための「模擬授業」パート2です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

> 4 「個人や社会の幸せを実現する」一端を「福祉」の授業も担っている
>
> 説明 「個人と個人が互いに尊重し合うこと」「対等・平等な関係や立場
>    を築くこと」このことが大事です。
>     このことを、体験的に学ぶのが「福祉」の授業だと思います。
>     そして、その延長線上に「個人や社会の幸せの実現」があると思う
>    のです。
>
> 説明 このように、「個人や社会の幸せの実現を図る営み」の一端を担っ
>    いる、このように考えて「福祉」の授業を創り上げていく必要があると
>    思います。
>

5 「日本国憲法 第一三条」から

 説明 ところで、今言ったことと全く同じことが「日本国憲法」第十三条に
    述べられています。それを読みます。

      第十三条【個人の尊重・幸福追求権・公共の福祉】
   
        全ての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福
       追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない
       限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。

説明 「日本という国が目指すべき方向」が書かれているのが、「日本国
   憲法」です。
    そのような国の一番大元になるきまりが「日本国憲法」です。
    その中には、国民の権利・義務が詳細に記されています。
    その中で、

    「全ての国民は、個人として尊重される」
    「幸福追求に対する国民の権利」は、「最大」に「尊重」される

   と謳われているのです。

説明  だから、私たちは、「個人個人が尊重され」、「幸福を追求する権利が
   最大に尊重される・保障される」社会の実現を目指すべきなのです。


6 「福祉」という営みの定義

説明 以上のことから、私は「福祉」という言葉を次のような意味に解したい。
    
     1 一人一人は尊重され、
     2 その関係においては対等・平等である。
     3 このことを前提に、一人一人の幸福の実現を願い、その実現に向
      けて働きかけていく。

説明 これを、「福祉」という営みの定義にしたい。


7 「福祉」の授業で培いたい力や態度
  「相手の立場」や「そのときの状況・認識内容」を理解する学習を

説明 以上話してきたことから、「福祉社会を実現する」に当たっては、次の
   ことが大事になってきます。

     1 「相手を尊重する」見方・考え方や態度
     2 「対等な立場で関わり合える」関わり方
     3 「対等・平等な立場・生活」を実現するための働きかけ(具体的な行
為)

説明 そこで、 「福祉」の授業では、このような力や態度を育てていく必要があり
   ます。
     しかし、これができるには、前提があります。次のことです。

     相手の「立場」や「そのときの状況・心情」が具体的に理解できる。

説明 これが必要になってきます。
    しかし、「これが難しい」のです。
    というのも、私たち人間社会には様々な「立場の違い」が存在するからで
す。

発問 そこで質問です。
    私たち人間社会には、どのような「立場の違い」が存在しますか。
指示 現実に存在する「立場の違い」を、「〜的立場」の違いというふうに箇条書き
   でいっぱい書き出していってください。
助言 例えば、

     「身体的」立場の違い
   
   がありますね。

説明 いろいろあるでしょうが、私は次のように考えました。

     1 「身体的」立場
     2 「精神的」立場
     3 「地理的(国、地方など)」立場
     4 「文化的・宗教的」立場
     5 「年齢的」立場
     6 「経験的」立場
     7 「社会的(地位、職業、職制など)」立場
     8 その他

説明 この中で、「年齢的」立場の違いを扱ったのが、「高齢者」福祉の授業です。

説明 このような「立場の違い」があるからこそ、相手のことを「理解する」、相手

   ことを「知る」のが難しいと思うのです。
    
    と言うのも、同じ状況であっても、その「立場」の違いによってその「経験
内容」
   「認識内容」が違ってくるからです。同じ道を歩いても、車椅子の方と健常者

   の間で、道を歩いたときの「経験内容」「認識内容」は違ってくるようにで
す。
    
    また、同じ事柄に対して、その「立場」が違うために、見方・考え方が違っ
てくる
   というのがありますね。特に、「文化・宗教的」立場の違い、「地理的」立場
の違
   いの場合が顕著で、価値観が違ってくるために、意見のぶつかりあい、意見の
   対立なども出てきます。

説明 これは全て、「立場の違い」から出てくることです。
    だからこそ、

    1 人間社会には、いろいろな「立場」の違いが存在することを知り、
    2 相手の「立場」や「そのときの状況・心情(認識内容)」を具体的に理
解する

   学習が必要になってきます。

説明 これができないから、つまり、相手の「立場」や「そのときの状況や認識内
容」
   が理解できないから、「偏見の目」や差別というものが生まれてくると思うの
です。
    そして、結果として相手のことを「尊重して」いない状況が生まれてくると
思う
   のです。
    その結果、「福祉社会の実現」のキーワードである「対等・平等」でない
「個人
   対個人」の関係が出来上がってしまう、と考えます。

説明 このことから、私は「福祉の授業」においては、

     1 「相手の立場を理解する」学習
     2 「そのときの状況や認識内容を理解する」学習

   これが絶対に必要になってくると思います。

説明 そして、薄っぺらに「理解する」ではなく、「具体的に理解する」これが大事
だと
   思います。
    そのためのキーワードは、<体験>です。
    「立場の違い」やそれから生じる「状況や認識内容の違い」を、<体験>に
よっ
   て具体的に理解する、これが大事だと思います。

説明 だから、向山先生のおっしゃった「<理解>と<体験>からボランティ学習を
   組み立てる」、至極名言だと思います。

説明 <体験>がいいのは、その「立場の違い」を経験レベルで知り得るからです。
   もっと言うと、その立場の「経験内容」「認識内容」を体験を通して、具体的

   理解できるからです。
    だから、「疑似体験」「模擬体験」「用具使用体験」「交流体験」は、いい
のです。


説明 ここまで来て、「ボランティア」について定義しておきたいと思います。

(続 く)
     



 

総合的な学習(福祉・ボランティア)
「高齢者福祉」単元構想の模擬授業2  次へ   戻る  トップへ